中小の派遣会社がAI面談を小さく始める方法

派遣の現場は、想像以上に電話でできています。元人材派遣営業だった弊社代表に2026年8月に聞き取りをしたところ、新規の派遣先開拓では1日200件架電して、アポイントが取れるのは2%だったそうです。1日約4件。裏を返すと、残りの196件は実らないまま終わります。

この記事では、その電話の重さを出発点に、AI面談が「大手向けの高い仕組み」と思われてしまう理由を分解します。そのうえで、ALICEの価格の考え方と、無料枠を使って小さく始める手順、そして今のALICEが提供していない機能まで書きます。

壊しておきたい誤解——重いのは「AI」ではなく「入り口」

AI面談は大手だから導入できる、という声をよく聞きます。ただ、判断を止めているのは月額そのものよりも、入り口の条件であることが多いと考えています。初期費用、初期設定費、最低利用期間、最低利用件数。ALICEが自社の価格を設計するときに、まず避けようと決めたのがこの4つでした。

中小の派遣会社にとって問題なのは金額の大きさだけではありません。「効果が出るかわからないものに、先にまとまった額を払う」という順番そのものが通らないのです。判断できないから見送る。見送るから現場の電話は減らない。この循環が本当の壁だと考えています。

なお、他社の実際の価格は守秘の対象なので、この記事では金額に一切触れません。ここで書けるのは、ALICEが自社の価格をどう設計したかだけです。

柱1: なぜAI音声の導入は入り口が重くなりやすいのか

音声AIは、電話番号の手配、台本の作成、話し方の調整、業務ごとの分岐設計と、立ち上げに手間がかかります。ALICE自身もそうでした。この手間を初期費用として先に受け取る設計にすれば、提供する側は安全になります。かわりに、まず試したいだけの会社は入り口で弾かれます。ALICEはここを0円にする方を選びました。

もうひとつは、料金の単位が実態とずれることです。ALICE自身がここで失敗しました。料金設計の初期に、面談を30分と置いて試算したところ、総額が高くなりすぎて社内で却下されています。その後、実際の会話を見て20分に直しました。前提の置き方を1つ間違えるだけで、見積もりは現場感覚から離れます。

面談の実務時間も、弊社代表の実体験として記録があります。通話そのものが10〜30分、終わったあとのメモ整理と入力に10〜15分。1件あたり20〜45分です。1日2〜4人なら、面談だけで1.3〜3.0時間が消えます。ここに、掘り起こしの架電が乗ります。掘り起こしは1回につき20〜30件かけて接続率は20%、本人の言葉では「ほぼ出ない」でした。

柱2: ALICEの価格設計と、月額の出し方

ALICEは入り口を軽くする方向に振りました。以下は実装されている値です。

  • 初期費用 0円、解約金なし
  • 基本料金 1,980円/月(税込)
  • つながった通話 300円/件
  • 通話料 28円/分(キャリア実費をそのまま転嫁)
  • 不在・不通・留守番電話は、AI利用料も通話料も0円
  • 掘り起こしと受電は、月30件までAI利用料が無料。31件目から300円/件
  • 就業後フォローは人数課金。月20名まで無料、21名目から130円/人・月。電話を使わないため通話料は0円

大事なのは「つながらなかった電話に課金しない」という点です。掘り起こしの接続率が20%だという現場の実感を踏まえると、不発の8割に課金される設計では、掘り起こしはいつまでも後回しの業務のままになります。

月額の出し方は単純です。基本料金に、つながった件数×300円と、通話時間×28円/分を足すだけです。件数も営業日数も会社ごとに違うので、ここでは「月◯件なら◯円」というモデルケースは出しません。自社の実際の面談件数と架電件数を、この式にそのまま当てはめてください。

通話時間の目安として、実測値だけ出しておきます。ALICEの本番データベースで計測した通話25件(デモを含む少数のサンプルです)は、平均74秒、中央値43秒、p90は185秒でした(架電98秒、受電57秒)。ただしこのサンプルは25件と少なく、実際の面談は通話がこれより長くなります。通話料もその分増えます。前提を隠さずに書いておきます。

原価側も実測を出しておきます。直近の運用実績で、音声処理に使うGPUの稼働は月3.78時間、生成AI(Bedrock)の利用額は月0.27ドルでした。使った分だけ動く構成なので、使わない月に高い固定費を払う構造にはなっていません。

柱3: 無料枠を使った段階的な始め方

最初から全部を切り替える必要はありません。無料枠が効く順に並べると、次の3段階になります。

  • 第1段階:就業後フォローから始める。月20名まで無料で、電話を使わないので通話料もかかりません。就業開始日と契約満了日の2つを入れるだけで、立ち上がり確認(開始+3日)と更新意向確認(満了-12日)が自動で提案されます。毎朝7時に自動実行されます。
  • 第2段階:掘り起こしを月30件の無料枠の中で試す(通話料は別途かかります)。曜日・時間帯・試行回数の上限を守って自動架電し、就業状況を確認して、求職中なら案件を提示して応募意思まで確認します。連絡を止めてほしいという意思(DNC)は尊重します。
  • 第3段階:AI面談を通常業務に載せる。登録スタッフへ自動で架電し、受電にも24時間対応します。回答が浅いときはAIが自動で追加質問をします。通話は文字起こしと要約が管理画面に残るので、面談後に10〜15分かけていたメモ整理を、記録の確認に置き換える形になります。

第1段階を先に置く理由は、放置されやすい業務だからです。弊社代表の実体験では、就業後フォローを実施できていたのは60〜70%。3〜4割は手が回っていませんでした。契約更新の確認については「ある、かなりの確率で忘れる」、スタッフの退職については「突然やめる」と話しています。事前の兆候はつかめていませんでした。

そして最もこたえた出来事として挙げたのが、「派遣スタッフが飛ぶ、退職する、代替要員を探す、派遣先に怒られる」という連鎖でした。夜間や休日の対応は、かけ直しを諦めるのではなく、休日出勤して自分で埋めていたそうです。フォローの取りこぼしを減らすことは、この連鎖の手前に手を入れることでもあります。

なお、就業後フォローの結果は11項目と400字の要約で残ります。賃金の不払い、ハラスメント、けがの申告は最優先で起票し、通知の宛先には担当営業を入れません。当人には言いにくい話が、当人に届いてしまわないようにするためです。

何を捨てているか

正直に書きます。ALICEには今、提供していない機能があります。

  • 基幹システムとの自動連携は未提供です。手元の管理システムと自動で同期する仕組みはありません。
  • 就業後フォローのCSV一括取り込みは未実装です。対象者は画面から登録します。
  • 現場(就業先)単位での集計は未実装です。

小さく始める設計を優先した結果、後回しにしている領域です。全社の基幹連携から入りたい、という要件には今のALICEは合いません。

よくある失敗——「テストが緑」は動く証拠にならない

ALICE側の失敗も共有します。開発中、机上で16周の敵対的レビューをして指摘は0件でした。ところが実際に音声を通したとたん、5件の不具合が出ました。別の機能では、バックエンドのテストが2,000件すべて通っていたのに、画面からは使えず、投入直後に4件の問題が露見しています。

もうひとつは設計上の失敗です。就業後フォローでは、当初は電話を使う予定でしたが、途中でやめました。面談用の番号から発信すると、スタッフのかけ直しが面談の受電フローに乗ってしまい、就業中のスタッフに面談の台本で話しかけてしまうためです(社内の設計判断記録ADR-007)。だからフォローは電話をかけず、メールやLINEでURLを送り、ブラウザ上で会話する形にしました。

導入する側の教訓は単純です。資料の説明ではなく、自社の名簿で1本かけて、自分の耳で聞くまでは判断しない。ALICEも社内でそう決めています。

現場が求める条件は3つだけでした。「簡単、自動、精度が高い」。(元人材派遣営業だった弊社代表・2026年8月の聞き取りより)

まとめ

新規開拓で1日200件かけてアポ率2%、掘り起こしの接続率は20%、面談は1件20〜45分、就業後フォローの実施率は60〜70%。これらはすべて、元人材派遣営業だった弊社代表の実体験です。電話にかかる時間は、削るというより配分し直すものだと考えています。

AI面談を止めているのは技術ではなく、入り口の費用構造です。ALICEは初期費用0円、基本料金1,980円/月、つながった通話300円/件、不発は0円。掘り起こしと受電は月30件まで、就業後フォローは月20名までAI利用料が無料です。まずは無料枠の中で、1つの業務から試してください。

こんなお悩みがあればご相談ください

  • 登録スタッフへの面談の架電が営業時間内に終わらず、面談後のメモ整理(1件10〜15分)まで含めると他の業務に手が回らない。
  • 休眠スタッフの掘り起こしを「暇なとき」「媒体から応募が来ないとき」しかできておらず、計画的な業務にできていない。
  • 就業後のフォローと契約更新の確認が抜け落ち、スタッフの突然の退職と代替要員の手配に毎回追われている。

どれか1つでも当てはまる場合は、お問い合わせください。無料枠の範囲で、どの業務から始めるのが自社に合うかを一緒に決めるところからご相談を承ります。実際の音声を聞いていただいたうえでご判断ください。